壊れてしまったパソコンの修理は、専門業者に依頼すれば安心だと考えている人もいるかもしれません。しかし、料金システムや注意事項を確認しなかったり、優良な業者の見極めを怠ったりすると、思わぬトラブルに遭遇する原因となります。
この記事では、上述のようなパソコン修理業者との代表的なトラブルを紹介しながら、効果的なトラブル防止策・解決方法を紹介します。
パソコン修理を業者に依頼した際に注意しておきたいトラブルとは
パソコン業者とのトラブルには、偶発的なものから悪徳業者による詐欺に近い事例まで様々です。
以下にパソコン修理業者に依頼した際の代表的なトラブルの一覧を記載しますので、パソコンの修理を専門業者に依頼する際の参考にしてください。
古いハードディスク との交換
修理業者が修理の一貫として、パソコンの部品であるSSDやハードディスクを交換することがあります。
SSDやハードディスクは、ストレージと呼ばれるパソコンのデータを保存するための装置であり、データのバックアップをしないで、新しいストレージと交換すると、データの復旧ができなくなります。
特に悪質な業者だと、お客さんに断りなくストレージの交換を行い、後になって追加の代金を請求したり、ハードディスクを処分したと偽りながら、古いハードディスクを売却して、個人情報の漏洩に至ったりすることがあります。
後述しますが、このような事態を防ぐためには、修理業者の評判を調査したり、見積もりにストレージ交換の有無が記載されているか確認したり必要があります。
コンピュータウイルスの放置
パソコンの不具合は、コンピュータウイルスの感染が原因となっていることがあります。
修理業者の多くはコンピュータウイルスの駆除に対応していますので、通常の修理依頼と同じように相談が可能です。
しかし、中にはお客さんの無知につけこんで、ウイルスの駆除や対策をしないで料金を受け取る悪質な業者も存在します。
こういった悪質な業者に依頼しないためには、パソコンの修理保証を行っている修理業者を選ぶことが重要です。
保証のある修理業者であれば、修理やウイルス駆除した後なのに、パソコンの動作が鈍いなどの不具合があれば、無償で対応してくれます。
また注意点として、修理業者の目を掻い潜るような巧妙なウイルスもあり、意図せず駆除に失敗していることもあります。そのため、ウイルスの駆除に失敗した業者が全て悪質であるというわけではありません。
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格安すぎる固定料金
パソコン修理業者の一部には、格安の固定料金を売りにしている事業者がいます。このような業者を利用すると料金トラブルに巻き込まれる可能性が高いです。
パソコンの修理費用は、パソコンの症状により修理に掛かる工数や負担も異なるため、金額もケースバイケースです。
従って、修理業者がパソコンの症状を鑑定後、見積もりを出した時点で料金が確定することが殆どであり、前もって固定料金を提示することは、特殊な事情がない限り難しいです。
そのため、固定料金を売りにする業者にパソコン修理を依頼すると、修理後の様々な名目で料金を請求されたり、別の商品を抱き合わせて売りつけられるなどのトラブルに繋がります。
もし、格安の固定料金を売りにした業者を利用する場合は、固定料金にできる理由や事情などを確認したうえでの依頼をおすすめします。
個人情報の流出
パソコンはクレジットカードの情報やプライベート写真、SNSやWEBサイトのパスワードなど個人情報の宝庫です。
そのため、パソコンのデータに触れることもある修理業者のセキュリティ意識やコンプライアンス意識が低いと、個人情報が流出する可能性があります。
具体的な流出経路として以下が挙げられます。
パソコンの盗難
防犯意識の低い修理店だと、店舗や金庫への施錠を行わないため、盗難の標的となります。
お客さんのパソコンを金庫やセキュリティルームに保管している業者に依頼すると安心です。
社内の個人情報横流し
個人情報の売却はお金になることが多く、コンプライアンスや社員教育が徹底されていないような修理業者の場合、個人情報が横流しされることがあります。
対策としては、実績の多い修理業者に依頼することです。
実績が多いということは、今まで大きなトラブルがなかったことを意味するため、個人情報の横流しをされる心配が低いと考えられるからです。
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パソコン修理を業者に依頼する際にユーザーが抱える不安
上述のトラブル以外にも、パソコン修理を業者へ依頼する際には、不安材料が多くあります。
よく取り上げられる利用者から聞かれる不安点を解説します。
データ設定は削除されてしまうのか
修理されたパソコンのデータや設定を残せるのか、気がかりな人は多いと思います。
専門業者に修理を依頼したパソコンの多くは、データを保全した状態で返却されることが多いです。
しかし、データを保存するための部品であるハードディスクやSSDが、水没や強い衝撃などで物理的に損傷した場合はデータの復元が困難であるなど、パソコンの状況によりデータが保全されるかはケースバイケースとなります。
中にはデータ復元を得意としており、状態の悪いパソコンでもデータ復元が可能な業者もあります。
また逆に、パソコンの復旧ができなかったとしても、データのみを取り出してバックアップしてくれる業者もあります。
その場合は、バックアップしたデータを保存するためのUSBメモリやDVDの代金が別途掛かる場合があります。
他にもパソコンメーカーや家電量販店に修理依頼をすると、修理専門業者と異なり原則としてパソコンが初期化されてしまうので注意が必要です。
データの内容を業者に見られてしまうのか
修理を依頼したパソコンに保存されているデータは、基本的には業者から見られてしまいます。
理由としては、修理スタッフが不具合の原因を調べたり、修理後のチェックをしたりする際に、パソコン内のデータを確認する必要があるからです。
そのため、データを見られてしまうことを前提に動く必要があるので、パソコンを修理に出す際はセキュリティ対策やコンプライアンスを遵守している業者を選択することが重要です。
また、デスクトップ型パソコンに使用されるモニターやDVDドライブなどの周辺機器修理は、ストレージがないため、修理に出してもデータを見られる心配はありません。
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個人情報は保護されるのか
健全な営業を行っている修理業者であれば、個人情報は最大限保護してもらうことは可能です。
保護される個人情報としては、修理依頼の際に修理業者に伝えた名前や電話番号の他に、上述のパソコンのデータが当たります。
個人情報を守るためには、上記と同じく業者の選定が欠かせません。
修理にはどれくらいの費用がかかるのか
修理に必要な金額もパソコンの状態によりけりです。
修理費用の参考としては以下の通りです。
項目 |
修理内容 |
費用 |
基本料金 |
10,000円 |
|
症状鑑定費用 |
見積もりを取るために症状を鑑定(依頼する場合は無料のケースが多い) |
5,000円 |
データ復元(初級) |
削除してしまったデータの復元 |
30,000円 |
データ復元(中級) |
起動しないパソコンかたデータ復元 |
40,000円 |
データ復元(上級) |
物理的に損壊しているストレージからデータ復元 |
50,000円 |
ウイルス除去 |
25,000円 |
|
部品交換 |
ファンやメモリなどの故障したパソコンの部品を交換 |
15,000円〜(部品代金除く) |
リカバリー |
パソコンを初期化(購入時の状態に戻す) |
15,000円 |
実際に掛かる修理費用は、パソコンの症状を鑑定後の見積もりで確定します。
鑑定の結果修理を依頼することになった場合、鑑定費用は免除してもらえるケースが多いです。
注意点としては、損傷のひどいパソコンは、修理費用が新品のパソコンの購入価格と同額になってしまうことも珍しくないので、データの回収などが必須でなければ買い替えることも選択肢に入れましょう。
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修理にはどれくらいの日数がかかるのか
仕事やプライベートで日常的にパソコンを使用している人にとっては、修理に必要な日数は気になる点でしょう。
パソコンの状態にもよりますが、即日で修理から返却までしてくれる場合もあります。
ただし、パソコンの状態が悪い場合や、修理に必要な部品の在庫が店舗にない場合は最長で1ヶ月ほど必要な場合もあります。
パソコンの修理に日数が必要な場合は、修理業者がパソコンのレンタルサービスを提供している場合もあるので、相談してみましょう。
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パソコンの汚れはそのままでよいのか
修理に出すパソコンが汚れている場合、どの程度清掃してから渡すべきか悩む人もいるかもしれません。
パソコンの表面などの汚れは拭き取ってから送った方が親切かもしれませんが、修理業者もクリーニングしてから修理作業に入るため、あまり気にする必要はありません。
また、修理に出すのがデスクトップ型パソコンの場合は、故障による症状を誤って悪化させないためにも、内部まで掃除するなどはやめておきましょう。
パソコン修理を業者に依頼する際にトラブルを防ぐためのポイント
実際にパソコンを修理に出す際にトラブルを防ぐためのポイントを解説します。
ポイント①必要なデータはバックアップを取っておく
故障してしまったパソコンが起動できるのであれば、修理に出す前にバックアップを取っておくとパソコンが初期化されてしまったときの対策になります。
併せて見られたくないデータや個人情報などは、削除しておくことをおすすめします。
また、パソコンがいつ故障しても大丈夫なように、普段からバックアップを取っておくことも重要です。
定期的に外部接続のストレージにバックアップするような設定、機材もあるので併せて確認しておくと安心です。
ポイント②パソコン修理の見積もりは念入りに確認する
修理に関する見積もりを確認することで、料金トラブルの多くは防ぐことが可能です。
健全な経営を行っている修理業者の多くは、見積もりにより確定した金額で修理を行いますが、悪徳業者だと見積もりを取らなかったり、取ったとしても修理後の追加料金を請求したりするなど、不透明な金額設定の場合が多いです。
そのため、見積書の記載で追加料金を取られる可能性を仄めかす記載があったら、尋ねるかその業者を利用することはやめましょう。
また、見積もりの金額がパソコンの購入価格を上回るようなことがあれば、新しいパソコンの購入を検討するのも合理的です。
ポイント③修理範囲の確認を行う
見積もりの確認と同様に修理範囲の確認を行うことも重要です。
症状診断の結果として、修理に掛かる費用とともに品名として修理が必要な箇所も記載されます。
修理範囲によっては、修理工賃とともに部品の代金も請求されるので注意が必須です。
また、明らかに損傷していない箇所の修理費用まで記載されていたら悪徳な業者の可能性が高いので注意が必要です。
ポイント④保証期間を確認する
新品の商品にも初期不良があるように、修理されたパソコンでも修理が失敗しており、不具合が残っている場合があります。
このような事態が起こる可能性を見越して、修理業者の中には、一定期間まで無償の修理保証を設定していることがあります。修理後の不具合に心配がある人は、保証が充実している業者に依頼しましょう。
ポイント⑤出張や宅配などの修理方法を確認する
デスクトップや大きいホームパソコンを店舗に持ち込んで修理を依頼するのは、重量の関係から困難ですし、道中で落としたりなどしたら、さらなる故障に繋がります。
このような負担を減らすためにも、出張や宅配のサービスを修理業者が提供しているか確認してみましょう。
別途、手数料が掛かる場合も多いですが、労力を考えると楽な場合があります。
ポイント⑥業者の修理実績を確認する
信頼できる業者を探すのに、最も効果的な手段は修理実績を確認することです。
修理実績が信頼できる業者の発見に役立てる理由として以下3点が挙げられます。
信頼されている
実績が多いということは、それだけ注文を受けていることになり、客からの信頼も集めている証拠になります。
修理のプロセスが明快である
多くの実績があれば、様々なケースの修理に対応していることがわかります。
従って、修理後のトラブルや能力不足から来る修理の失敗が少ないことを意味しています。
【関連記事】パソコン修理を依頼する際の業者の選び方とは?注意点も解説
きむらパソコンでは明瞭会計でトラブルを防止します
今回紹介したパソコン修理業者にまつわるトラブルの多くは、業者選びを慎重に行うことで未然に防げます。普段の仕事やプライベートで頻繁に使うパソコンが故障し、一刻も早く修理したいと焦る気持ちは理解できます。しかし、業者選びを焦った結果、上述したトラブルに巻き込まれないよう、今回の記事を参考に失敗しない業者選びをしましょう。
きむらパソコンでは、お見積もりをお客さまからお預かりしたパソコンを鑑定した後のお見積もりから、金額が上がることはございません。
また、コンピューターの技術に精通したスタッフが修理に当たります。
パソコンの修理で、料金や技術的なトラブルに不安をお持ちの方は、是非きむらパソコンにてご相談ください
監修者
株式会社きむらパソコン
技術部 主任エンジニア
福島 圭介
<資格>CCNA、LinuC、ITIL、.com master advance ダブルスー などの各種資格を保有。
<略歴>主にネットワークやサーバの構築とパソコンの修理を行うスペシャリスト。
データの規模や機材のメーカーを問わず、データ復旧・パソコン修理業務に幅広く対応しており、重要なデータを取り扱う法人関係の案件を中心に多数の実績あり。
株式会社きむらパソコン
カスタマーアドバイザー・エンジニア
砂川 和也
<略歴>主な業務は、パソコン修理およびデータ復旧。
メーカーや障害内容を問わず、高品質の修理を心がけている。
年間200台以上の修理業務を対応し、メーカーでも対応できない高難度の障害を幾つも修理・復旧してきた。
休日は家族のミニチュアダックスフンドと過ごすことが生きがい。